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金網について解説 

 

※当社(筆者)は金網を織って製造する業者ではなく、金網を使用した製品を作る加工業者ですので、内容に間違えがあるかもしれません。ご了承下さい。

 金網は、「元になる線材のメーカー」→ 線材を引き伸ばして所定の線径のワイヤーをつくる「伸線メーカー」→ 織機・編み機などにかけて金網を織る「金網製造業者」というような段階を経てつくられています。メーカーによって、製造品(規格)に多少の違いもあると思います。

金網の織り方(種類)

平織(ひらおり):標準の織り網(線を1本づつ交差)・最も一般的な織り方
綾織(あやおり):交互に線2本乗越しさせた織り方
平畳織(ひらたたみおり):畳表状、縦線(相接)と横線のメッシュがちがう(綾畳織もある)
クリンプ網:ギアで線を波形に曲げて編んだもの・バーベキュー網など
溶接金網:線を編まずに、上下交差させスポット溶接でとめたもの
亀甲金網(きっこー):六角形に編んだもの・鳥小屋など

その他、さまざまな織り方がありますが、特殊なものになりますので割愛します。

私どもで造っているバスケットやザルなどでは、金網というと通常、平織のものを使うことになります。平織金網が基本で、平織では製造できない大きな網目のものには、クリンプ網や溶接金網、反対に微細な網目(太めの線径)のものは、綾織・畳織などの製法のアミを使うことになります。

平織金網
最も一般的に使われているものです。金網の織り方の指示の無い場合は、通常平織になります。

平織金網

←平織金網の写真
 線を一本づつ交互に織った金網
 最も一般的な織り方です。造り方は布を織るハタ(機)と同じ。

 写真に見える端っこの、線がループしている所を、「耳」と呼びます。
織り幅の両端はこのような「耳」になります。

 厳密にいうと、縦線と横線では、織った際の波の大きさが違うため、アミには方向性が発生します。

平織(綾織)の規格表記について

表示例:「0.6φ×16メッシュ」 「0.6φ×1mm目」 

「開き1㍉・線径0.6」「#23×16メッシュ」 「#23×吋16目」
(#23=φ0.6mmで、線径を表します。上記は表記方法が違いますが同じアミです。)

#:線番(線径):SWG/ブリティッシュ・インペリアル・スタンダード・ワイアー・ゲージ
「#」は線径(太さ)を表します。(**番と読む)線番が大きいほど、径は細くなります。
 線番の規格は、SWG以外にもあるため、同じ番手でも太さが違うということもあります。
現行JISでは、線番での規格はありません。
 線径を表すのは、ミリメートル単位でOKです。

メッシュ:1インチ(25.4 mm)一辺の目数を指します。(下図)
 

金網のメッシュ

開き目(計算上)=25.4÷メッシュ数-線径
例:線径φ0.6×16メッシュの場合
   25.4㎜÷16メッシュ-0.6φ=0.9875㎜→実用上1mm目(0.99mm目)
 

同じメッシュでも、線径により開き目は違ってきます。
(同じメッシュでも、違う線径のものが何種類もあるので、メッシュ数だけでは開き目を特定できません。)

金網の規格は、一般の人にはわかりづらいので、ミリ単位で、開き目(線と線の内寸法)を指示(希望)いただけば、近い規格のものを選定いたします。(線径違いで複数選定)

 

同じメッシュの場合、線径が太くなれば開き目は小さくなり、線径が細くなれば開き目は大きくなります。
また、目ズレ(線のズレ)や線径の公差がありますので、計算通りの開き目にはなりません。

線が細くて開き目が大きいほど、網の腰が弱くなるため目ズレは大きくなります。

メッシュ(開き目)によって織ることが出来る線径の範囲には限度があります。
細かい網目になれば、線径は細くなり、大きな網目になるほど、線径は太くなります。

一般的に、同メッシュならば、
  線径が太い→腰の強いアミ・丈夫・開孔率低い・材料費高価
  線径が細い→柔らかなアミ・破れ易い・開孔率高い・材料低価

 同線径ならば、
  細かいメッシュ(開き目)→腰が強い・材料費高価
  大きなメッシュ(開き目)→腰が弱い(成形・変形し易い)・安価

 同じくらいの開き目でも、線径とメッシュの組合せによって数種類の規格の金網を選定できることになります。ただし、私どものような加工業者が、何百にも及ぶ種類のアミを常に使っているわけではありません。また、加工内容によってそれに適した線径・開き目などがあるため、金網材料が安ければ製品も安くなるというわけではありません。

 金網を選定するには、希望の線径・開き目とともに、用途や使用条件をよく説明した上で、加工業者とコスト・耐久性・加工の適否などを相談することが大切です。

 平織金網の最大開き目は、10~12mmです。それ以上の大きな開き目は、クリンプ金網・溶接金網などの違う織り方をしたものになります。また、用途や使用条件によっては平織以外のアミを選定した方が良い場合もあるので、ご相談ください。

金網材料写真


 ←巻物状態の金網

 金網メーカーでは、基本的に30m巻を一本単位で製造しています。

 織り幅は、ステンレス金網の場合は、1m幅・1220(4フィート)幅がメインです。鉄の金網は、1m幅ではなく、920(3フィート)幅になります。

 このロールになった金網を平のばしして使うのですが、物によって巻グセが取れずに厄介なこともあります。

ステンレス織網の線径について

 金網の線径は、線番(#)で示されている場合もあるのですが、この線番は、先に記したSWGという規格によっています。(JISやISO規格ではありません。)

 針金やワイヤーのことを「番線」と呼ぶのは線番の太さからきています。ちなみに8番線(#8)の太さが、約4mmです。この規格がどのようにして生まれたかは、調べたことがありませんのでご了承を。
 SWGは、イギリスのインチ単位でつくられた規格のため、ミリの単位に換算すると、小数点以下の並ぶ訳のわからない数字となってしまいます。インチ単位のしくみは、10進法でなく3/4とか3/16という分数でできているので、一般の人にはますます判らない数字になっていきます。(ネジの規格も同様です。)

 例えばSWGの35番(#35)をミリメートルに換算すると0.2134㎜になります。開き目の大きさも同様に、計算上ではミリ単位では割り切れない値になってしまいます。
 線材の公差や目ズレ許容がありますので、弊社では実用上問題のないところを考慮し、値を丸めて呼び表しています。

(※SWGの線番・ミリ・インチ換算表は、googleなどでお調べください。)

このように判りづらく覚えにくい規格は、私どものような業者にとってもお客様に説明するのが難しく、またまちがえも起こしやすいと思っています。そのような訳で、当社では、一般の方にもわかりやすいよう、なるべく線径と開き目をミリ単位で表示するようにしています。(メッシュと併記)

現行JISでは、「ステンレス金網の標準線径」として、下記の線径があげられていますので参考下さい。

*** JIS3555 (2003)の表3 単位mm ***
0.030 0.035 0.040 0.045 0.050 0.055 0.060 0.065 0.070 0.080 0.090
0.10  0.11  0.12  0.13  0.14  0.15  0.16  0.18
0.20  0.22  0.23  0.24  0.26  0.28  0.29 
0.30  0.32  0.35  0.40  0.45  0.50  0.55  0.60  0.62  0.65 
0.70  0.80  0.90  1.00  1.20  1.40  1.60  1.80  2.00 

 実際は、上記線径以外の金網は多く作られています。金網メーカーによっても品揃えに各々違いがあるようです。

 

金網製品を電解研磨や酸洗すると、数ミクロンレベルですが表面が溶け出すことにより、特に線径の細い(細かい)アミは強度が落ちることになるため注意が必要です。

溶接金網

 ワイヤー(線材)を上下に交差させて、その交差点を1ヶ所ごとにスポット溶接して造られているアミです。
織物ではないので、線材はほぼ直線のままで、大きなアミ目でも目ズレがなくしっかりしています。
当社では、製造メーカーさんの商品名「ファインメッシュ」という名前で呼んでいます。

ファインメッシュ

←溶接金網「ファインメッシュ」の写真です。

線径φ0.8~φ2で、5㍉目~30㍉目位の範囲で既製材料が作られています。

鉄製の太い線径のものは、コンクリートの鉄筋に使用されることが多い。

クリンプ金網
線材をギヤ状のロールに通して、波折にしたものを組み合わせて織ったアミです。
大きな網目のもので、様々な開き目を造ることができます。

クリンプ金網

←クリンプ織金網の写真

「クリンプ」は縮れの意味。
ラーメンのちぢれ麺のような線材を織る。

交差点は溶接してないため、フレームなどに
溶接しないと、菱形にゆがみやすく、バラけ易いのが欠点

バーベキュー用のアミが代表例です

ステンレス織網の材質(鋼種)について
 一般的に市販されているステンレス金網の材質は、SUS304がほとんどです。100メッシュ位より細かい網目になると、製造上の理由からと思われますが、SUS304ではなく、SUS316を使用するものが多くなってくるようです。
 SUS316の平織金網も一般品として流通していますが、SUS304ほどの品揃えは無いようです。
 SUS316よりグレードの高いステンレス鋼種(SUS310Sなど)やフェライト系鋼種の金網は、入手できる種類が少ない(あまり市中流通してない)と考えたほうがよいでしょう。

​ 鉄の金網は、錆防止のため亜鉛めっきしたものがほとんどです。(亜鉛引き金網)

  食品製造業界などでは、磁石による金属(異物)の探知のために、磁性のあるステンレス金網の必要性が高いため、それらのニーズにこたえるために、有磁性の金網も多少つくられています。そういう場合、当社では「マグネステン」(商標名)という金網を仕入れて使用しております。この金網は、二相系ステンレスを使用しているため、かなり高価なものになります。(耐食性もよい)


 金網などの用途に、コスト的に安価なフェライト系の鋼種が開発されたという新聞報道もありましたが、現時点で一般販売用金網として流通しているかどうか不明です。将来的にはフェライト系ステンレスの金網も増えてくるのではないかと思います。

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